話した言葉をテキストにする音声入力ツールを探していて、TypelessとAqua Voiceのどちらを選べばよいか迷っていませんか。名前は似ていても、実は設計の核がまったく異なります。
TypelessはAIが後から文章を整える「AI整形型」、Aqua Voiceは速さと忠実な文字化を重視したダイレクト型です。
この記事では、機能・価格・セキュリティの3軸で両者を比較し、向いている人・向かない人を整理します。読み終えると、どちらを選ぶべきかの判断軸が手に入ります。
Typeless と Aqua Voice はどんなサービスか

Typeless(タイプレス)は、スタンフォード大学のチームが開発した音声入力AIサービスです。「タイプしなくていい」という名前が示すとおり、話した言葉をリアルタイムでテキストに変換し、AIが自動でフィラーワードの削除や文章の整形まで行います。
Aqua Voice は、スタートアップ育成機関 Y Combinator の2024年冬期バッチ(W24)出身のスタートアップが開発した音声ディクテーション(口述入力)サービスです。速さと精度に特化し、「話したとおりにすばやく文字化する」ことを最優先に設計されています(Aqua Voice公式)。
2ツールとも同じ「音声入力ツール」というカテゴリに属しますが、「AIが整えてから出力する」か「そのまま高速で出力する」かで、向いている用途がはっきり分かれます。
TypelessとAqua Voiceの機能はどう違うか

2ツールの最大の差は、音声をテキストにした「その後」の処理方針です。
Typeless は話した内容をAIで整形して出力する
Typeless の特徴は、音声認識後にAIが自動で文章を整えてくれる点です。次の機能が標準で備わっています。
対応アプリごとの使いどころはTypelessアプリで何ができるかで詳しく解説しています。
- フィラーワード(「えー」「あのー」などの言い淀み)の自動削除
- 繰り返し表現の除去
- リスト・ステップ構造への自動フォーマット
- アプリごとのトーン自動適応(メールなら敬語調、Slackなら短文調など)
さらに、テキストを選択した後に翻訳・要約・書き換えを指示できるAI編集機能もあります。個人辞書機能(固有名詞・略語の登録)も使えます。Proプランでは無制限ワード・精度強化・新機能への早期アクセスが加わります(Typeless料金ページ)。
Aqua Voice は速さと忠実な文字化に特化している
Aqua Voice は「話したとおりにすばやく文字化する」ことを設計の核に置いています。公式は450msのリアルタイム変換、タイピングの約5倍にあたる230WPMという数字を示しています(Aqua Voice公式)。
変換スタイルは発話をそのままテキスト化する忠実文字化(verbatim transcription)方式で、Typeless のような自動フォーマット機能はありません。出力が「話したとおりの文章」なので、意図しない言い換えが起きないという安心感があります。
AIモデルはプランによって異なり、Starter では Aqua Engine、Pro以上では高精度な Avalon モデルが使えます。カスタム辞書は Starter で5項目、Proで800項目まで登録でき、技術用語やブランド名の認識精度を高めることができます(Aqua Voice料金ページ)。
TypelessとAqua Voiceの料金を比較する

Typeless の料金体系
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Free | 無料 | 週8,000語まで |
| Pro(年払い) | $12/月 | 無制限ワード・精度強化 |
| Pro(月払い) | $30/月 | 同上 |
無料プランは週8,000語という上限があるものの、毎週リセットされるため継続して使い続けられます。年払いと月払いの価格差が大きく($12 vs $30)、継続利用を決めた場合は年払いが合理的です(Typeless料金ページ)。
Aqua Voice の料金体系
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Starter | 無料 | 累計1,000語まで |
| Pro(年払い) | $8/月 | 無制限・Avalon モデル・辞書800項目 |
| Team(年払い) | $12/月 | Pro機能+ゼロデータリテンション |
Aqua Voice の無料枠は累計1,000語と少なめです。試用目的には十分ですが、日常的な使用では早めに有料プランへの移行が必要になります。Pro が$8/月(年払い)と Typeless Pro の$12より安く、学生は .edu メールアドレスで年間プランが70%割引になります(Aqua Voice料金ページ)。
価格だけで見ると Aqua Voice Pro が割安ですが、どちらの機能が自分の使い方に合うかで選ぶほうが長期的なコスパは高くなります。
TypelessとAqua Voiceの対応OS・安全性

対応OSと言語数を比較すると、次のとおりです。
| 項目 | Typeless | Aqua Voice |
|---|---|---|
| macOS | ○ | ○(Apple Silicon・Intel) |
| Windows | ○ | ○(10/11) |
| iOS | ○ | ○ |
| Android | ○ | 非対応 |
| 対応言語数 | 100言語以上(自動検出) | 49言語 |
Typeless は Android にも対応していますが、Aqua Voice は Android に対応していません。対応言語数も Typeless が上回ります。Typeless は50種以上のアプリ(Microsoft Office・Gmail・Slack・Notion・Zoom・Discord など)での動作も確認されています。
セキュリティポリシーは、2ツールのアプローチが対照的です。 Typeless は音声データをクラウドに保存せず、モデルの学習にも使用しないと明記しており、履歴はデバイス内にのみ保存されます(Typeless公式)。一方 Aqua Voice は SOC 2 Type II認証(第三者機関による情報セキュリティ監査の国際規格)を取得しており、データ管理の体制を外部審査で証明しています(Aqua Voice FAQ)。
Aqua Voice はデフォルトでトランスクリプトをモデル改善のために保持する場合がありますが、プライバシーモードを有効にすると保持なしになります。Teamプランではゼロデータリテンション(データを一切保持しない)が提供されます。
Typelessのセキュリティ設計はTypelessのセキュリティ対策で詳しく解説しています。
機密性の高い業務で使う場合、「そもそもクラウドに送らない」か「送るが SOC 2 で管理されている」か、自社のデータポリシーに合わせて判断が変わります。
なお、Windows 環境では一部のウイルス対策ソフトが Aqua Voice を誤検出するケースがあり、ホワイトリストへの登録が推奨されています。
TypelessとAqua Voiceの日本語での使い勝手

日本語で使う前提で気になるのが、対応言語数の差です。Typelessは100以上、Aqua Voiceは49言語で、数字だけ見るとTypelessが上回ります。ただし日本語はどちらの対応言語にも含まれるため、日本語だけで使うならこの数の差はあまり効かず、差が出るのは複数の言語を混ぜて使う場面です。
精度の出方について、Aqua Voice公式は言語ごとに精度が変わると説明しており、学習データの多い言語ほど高くなりやすいとしています。日本語は利用者の多い言語なので、どちらも実用的な精度が期待できる側に入ります。固有名詞や専門用語は、両サービスが備えるカスタム辞書に登録しておくと認識が安定します。
日本語の話し言葉に多い「えー」「あのー」といった言い淀み(フィラーワード)は、どちらも自動で削除して文章に整える設計です。Aqua Voiceも速さに加えて、フィラーの削除や文法の修正、出力先アプリに合わせた整形を行うと公式に明記しています。そのため日本語でも、話したままの粗い文字列ではなく、読める文章に近い形で出力されます。
まとめると、日本語で使う分にはどちらも対応し、フィラー削除や整形まで自動でこなします。日本語だからどちらかが明確に有利という差は小さく、選ぶ決め手は対応OSや料金、ふだん使うアプリとの相性に移ります。
普段使う端末での対応状況はTypelessの対応OSで一覧にしています。
Typeless が向いている人

次のような使い方をする人には Typeless が合います。
- 長文メールやドキュメントを音声で下書きしたい
- 話した言葉の言い淀みや繰り返しをAIに自動で消してほしい
- Slack・Teams・Gmail など複数のアプリをまたいで音声入力したい
- 文章の翻訳・要約・書き換えまで音声で一気に完結させたい
- Android スマートフォンでも使いたい
逆に、「AIが文章を変えてしまうと困る」「発言の原文をそのまま記録したい」という場面では、Typeless の整形機能がミスマッチになる可能性があります。
Slackやメールなどアプリをまたぐ音声入力を、そのまま始められます。

Aqua Voice が向いている人

次のような使い方をする人には Aqua Voice が合います。
音声入力AIの選び方は他ツールとの比較でも変わるため、TypelessとWispr Flowの比較もあわせて参考になります。
- 会議の議事録や口述メモを、発話のままの形で残したい
- 速さ最優先で、整形は後から自分でやりたい
- 技術用語・専門用語が多い分野で働いていて、カスタム辞書800項目を活用したい
- .edu メールアドレスを持つ学生で、年間70%割引を使いたい
- 組織のセキュリティポリシー上、SOC 2 Type II認証が必要
一方で、「話すだけで完成した文章が欲しい」「長文をゼロから音声で書き上げたい」というニーズには、自動整形機能のない Aqua Voice は向きません。
まとめ:TypelessとAqua Voiceどちらを選ぶか

2ツールを一言で表すと、Typeless は「音声の先にAIがいる」、Aqua Voice は「AIが邪魔をせず速く届ける」です。
AIに文章の整形を任せてドキュメント作成の効率を上げたい場合は Typeless、速度と忠実さを優先する場合は Aqua Voice という棲み分けになります。
どちらも無料枠があるので、まず両方を短期間試して「自分の話し方に合うか」を体感するのが最短の判断になります。継続利用を決めた場合は、どちらも年払いプランが割安です。
Typelessをもっと知りたい方はTypelessの機能と向き不向きの解説、料金の詳細はTypelessの料金は?無料とProの違いと選び方もあわせてご覧ください。
Typelessは週8,000語の無料枠で、自分の話し方に合うか確かめられます。

