Work IQとは?Copilotが社内の情報で答える仕組みを3層で解説

Work IQの仕組みと無料版との違いを整理した記事のアイキャッチ画像

Microsoft 365の説明や社内の導入資料にWork IQという名前が出てきて、新しい製品なのか設定の名前なのか迷った人もいるのではないでしょうか。

Work IQは、Microsoft Copilotとエージェントが社内のメールや会議、ファイルの意味をつなげて理解するための仕組みです。普段のCopilotでは、有料のMicrosoft 365 Copilotの回答の裏側で動いています。

この記事では、Work IQの3つの層の役割から、無料版との違いと開発者向けAPIの料金までを整理します。読み終えるころには、自分の使い方でWork IQを気にする必要があるかを判断できます。

目次

Work IQはCopilotに仕事の文脈を渡す仕組み

社内のデータからMicrosoft Graph、Work IQを経てCopilotの回答になる流れを示した図

Work IQは、Microsoft 365 Copilotとエージェントが、組織のデータや文脈、ツールにアクセスして推論できるようにするMicrosoftの仕組みです。Microsoft Learnの概要ページは、これを職場のインテリジェンスレイヤーと呼んでいます。

インテリジェンスレイヤーとは、データそのものではなく、データの意味を理解して使える形に整える層のことです。同じページによると、Work IQはアクセス許可を考慮しながら、Microsoft 365と外部システムの意味のつながりを継続的に組み立てます。

Microsoftの公式ブログによると、発表は2025年11月18日のMicrosoft Ignite 2025でした。同じブログは、Work IQを次のように位置づけています。

Work IQ is the intelligence layer behind Microsoft 365 Copilot and agents

よく似た名前にMicrosoft Graphがあります。Microsoft Graphは、メールやファイル、予定表などの社内データをプロンプトに取り込む通り道です。Microsoft Graphがデータを取り出し、Work IQがその意味をつなげて理解するという分担で捉えると区別しやすくなります。

Copilotには名前の似た製品が多く、全体の並びはCopilotの種類と違いの整理で確認できます。

Work IQはデータ・メモリ・推論の3層でできている

Work IQを構成するデータ・メモリ・推論の3つの層と役割を並べた図

Work IQは、社内の情報を集める「データ」、人やチームの働き方を覚える「メモリ」、その2つをつないで答えや行動を選ぶ「推論」の3層で動いています。Microsoft LearnのCopilot Studioのページは、Work IQをこの3層で説明しています。

3つの層は別々の機能ではなく、組み合わさって1つの理解を作ります。それぞれの役割を順に見ていきます。

データ:メールや会議の情報を集める

データの層は、ファイル、メール、会議、チャット、業務アプリから届く情報を、Microsoft 365全体でまとめる役割です。Microsoft Learnは、これによって組織の中で仕事がどう進んでいるかを捉えると説明しています。

対象はMicrosoft 365のアプリだけではありません。Work IQの概要ページによると、Dynamics 365やPower Platformの業務データも含まれます。Copilotが参照する社内情報の入り口を1つにまとめるのが、この層の仕事です。

メモリ:人とチームの働き方を覚える

メモリの層は、ユーザーやチームがどう働いているかを持続的に理解する役割です。Ignite 2025の公式ブログは、メモリの中身を利用者のスタイルや好み、習慣、仕事の流れだと説明しています。

この層があることで、エージェントは優先順位に沿って動き、タスクやアプリ、セッションをまたいでも一貫性を保てます。毎回ゼロから事情を説明しなくても、前提を踏まえた答えが返りやすくなるのがメモリの効き目です。

推論:情報をつないで次の行動を選ぶ

推論の層は、データとメモリを組み合わせて、関係のある情報を結びつけたり、次にとる行動を選んだりする役割です。Microsoft Learnによると、モデルやスキル、ツールをまとめ、エージェントがWork IQのツールを使って実際の操作まで行えるようにします。

チャットで答えを返すだけでなく、メールの下書きや予定の作成のような作業につながる点が、ここで効いてきます。集めた情報と覚えた働き方を、答えや作業に変えるのが推論の層です。

Work IQが効くのはMicrosoft 365 Copilotの有料版

Copilot ChatとMicrosoft 365 Copilotの有料版で社内データの使い方が違うことを対比した図

Work IQが普段の回答に自動で使われるのは、Microsoft 365 Copilotのアドオンライセンス、つまりPremiumを持つ人です。追加費用なしで使えるMicrosoft 365 Copilot Chatは主にWebの情報で答え、社内のデータを使えるのは自分でファイルを渡したときなどに限られます。

Microsoft Learnのライセンス比較では、3つの区分が次のように分かれています。

スクロールできます
ライセンス区分 Work IQによる社内データの利用 社内データを使う方法
Copilot Chat (Basic) なし ファイルのアップロード・Outlook と Teams で開いた内容・従量課金制のエージェント
Microsoft 365 Copilot (Basic) なし ファイルのアップロード・Outlook と Teams で開いた内容・従量課金制のエージェント
Microsoft 365 Copilot (Premium) あり Microsoft Graph と Work IQ を通じて自動で参照

無料版と有料版で答えの質が変わる理由の1つが、ここにあります。Copilot Chatの概要ページの比較表でも、Graph API、Work IQ、セマンティックインデックス作成はCopilot Chatが「なし」、有料のMicrosoft Copilotが「はい」です。有料版では、ファイルを手で添付しなくてもメールや会議の内容を踏まえて答えるのが大きな違いです。

Premiumでは、Work IQのオンとオフを切り替えることもできます。オフにしても回答は返りますが、メールやファイル、会議といった仕事の文脈では補強されません。無料版と有料版の違い全体はMicrosoft Copilotの無料版と有料版の違いにまとめています。

ライセンスの区分は改定されることがあるので、自社の契約でWork IQが効くかは公式の比較表で確かめてください。

公式ページ
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Work IQはCopilot Coworkやエージェントの土台になる

Work IQを中心にCopilotの回答・Copilot Cowork・エージェント・Copilot Studioがつながる関係を示した図

Work IQは、チャットの回答だけでなく、Copilot Coworkやエージェントが作業を組み立てるときの土台にも使われています。Copilot Coworkの公式ページによると、達成したい成果を伝えると、Work IQがメールや会議、ファイル、業務データをもとに作業を組み立てます。

Copilot Coworkは、利用者に代わってMicrosoft 365の環境全体でタスクを実行する機能です。仕組みと始め方はCopilot Coworkの概要と料金で整理しています。Coworkは従量課金で、委任する作業の量に応じて請求が発生します。

Microsoft Learnのライセンス比較でも、Premiumで使うエージェントはWebと仕事のデータ、つまりMicrosoft GraphとWork IQを使うと書かれています。名前が違っても、社内の文脈を読む部分はWork IQが共通して担っていると考えると、各機能の関係が見通しやすくなります。エージェントの種類と使う条件はCopilotエージェントの仕組みが参考になります。

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Work IQは本人が見られる情報しか読まない

Work IQは本人の権限の範囲で動き、共有設定が回答範囲になり、呼び出しが記録される流れを示した図

Work IQは、使っている本人がもともと見られる情報や、実行できる操作の範囲でしか動きません。Microsoft Learnの概要ページによると、すべての要求は特定のユーザーの文脈で実行され、そのユーザーが表示または実行できる内容にだけアクセスします。

Copilot Chatの概要ページも、Copilotは既存のMicrosoft 365のアクセス許可を尊重し、追加の社内コンテンツへのアクセス権を与えないと説明しています。保持ポリシーや秘密度ラベルといった既存のルールも、そのまま適用されます。

裏を返すと、社内の共有設定が広すぎれば、その範囲がそのまま回答に出てくるということです。Work IQの概要ページでは、ツールの呼び出しがすべて記録され、監査に使えることも示されています。共有設定の見直しの考え方はMicrosoft 365 Copilotの情報漏洩リスクで詳しく扱っています。

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Work IQ APIは開発者向けで料金の仕組みが別

普段のCopilotで効くWork IQと開発者向けのWork IQ APIの違いを対比した図

Work IQには、自社のアプリやエージェントから呼び出す開発者向けのWork IQ APIもあります。こちらはMicrosoft 365 Copilotのライセンスとは別に、使った分だけCopilot Creditsで払う仕組みです。

普段のCopilotで効いているWork IQと、開発者が呼び出すWork IQ APIは、同じ仕組みを使いながら入り口と課金が分かれています。利用者として使うだけなら、APIの話は管理者や開発者に任せて問題ありません。

Work IQ APIは2026年6月16日に一般提供

Work IQ APIは、2026年6月16日に一般提供が始まりました。Microsoftのライセンス案内ページは、見出しでこの日付を示しています。

Microsoft Learnによると、APIはチャット、コンテキスト、ツール、ワークスペースの4つを組み合わせて提供されます。呼び出し口には、エージェント同士をつなぐ A2A、リモートの MCP サーバー、REST API があります。MCPは、AIエージェントが外部のデータやツールにつなぐための共通の取り決めです。

組織で使い始めるには、グローバル管理者による1回限りの有効化と、使用量ベースの課金の設定が必要です。APIは組織の管理者が準備してから開発者が使うものなので、利用者が個人で申し込むものではありません。

料金はCopilot Creditsの従量課金

Work IQ APIの料金は、Copilot Creditsを使った分だけ払う従量課金です。Microsoftのライセンス案内ページは、Work IQ API専用のサブスクリプションやユーザー単位のライセンスは無いと明記しています。

同じページによると、アクションやツールを呼び出す Tool API は1回あたり0.1 Copilot Creditsの固定です。Chat API と Context API は、処理の複雑さによって消費量が変わります。

Microsoft Learnの概要ページでは、Microsoft 365 Copilotのライセンスを持つ人は、Copilotの機能とエージェントの中でWork IQを使えます。一方で、自社や他社が作ったエージェントから使う分と、ライセンスを持たない人の利用は使用量に応じて課金されます。

課金の考え方は変わることがあるので、使う前に公式の概要ページの「アクセスと価格」を確かめてください。

公式ページ
Work IQ の概要 Work IQが、使用量ベースの料金モデルでA2A、MCP、REST APIを介してアクセスできるチャット、コンテキスト、ツール、ワークスペースを使用して、エージェントに本番環境に...

Copilot StudioのWork IQはプレビュー

Copilot Studioでエージェントに追加するWork IQは、まだプレビューの機能です。Microsoft Learnは、プレビュー機能は本番の業務用途を想定したものではなく、機能が制限される場合があると注意書きしています。

同じページによると、このWork IQは管理者がMicrosoft 365 管理センターで書き込み操作をオンにしない限り、読み取り専用で動きます。エージェントが勝手にメールを送るような動きは、管理者の許可がなければ起きない設計です。Copilot Studio自体の位置づけと料金はCopilot Studioの料金プランで確認できます。

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Work IQが自分に関係あるかは使い方で決まる

無料版の利用者・有料版の利用者・管理者・開発者それぞれのWork IQとの関わり方を整理した表形式の図

Work IQを意識する必要があるかは、使っているCopilotの種類と立場で決まります。立場ごとに整理すると次のとおりです。

  • 無料のCopilot Chatだけを使う人は、Work IQの効果を受けない
  • Premiumを使う人は、普段の回答でWork IQが効いている
  • 管理者は、共有設定とWork IQ APIの課金を管理する
  • 開発者は、Work IQ APIをCopilot Creditsで使う

無料のCopilot Chatで社内の文脈を踏まえた答えが返らないのは、Work IQやMicrosoft Graphを通じた社内データの参照が含まれないためです。有料版に切り替える価値があるかは、Microsoft 365 Copilotが必要かの判断で立場別に整理しています。

すでにPremiumを使っているなら、新たな設定は要りません。意識すべきなのは、社内の共有設定がそのまま回答の範囲になる点です。

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Work IQに関するよくある質問

Work IQとMicrosoft Graphは何が違いますか?

Microsoft Graphは、メールやファイル、予定表などの社内データをCopilotに取り込む通り道です。Work IQは、そのデータに加えて人やチームの働き方の理解を重ね、エージェントが推論して行動できるようにする層です。有料のMicrosoft 365 Copilotでは、両方を使って社内の文脈に沿った回答を返します。

Work IQは無料で使えますか?

無料のCopilot Chatだけでは、Work IQを通じた社内データの自動参照は使えません。普段の回答でWork IQが効くのは、Microsoft 365 Copilotのアドオンライセンスを持つ場合です。自社のアプリやエージェントからWork IQ APIを呼ぶ場合は、ライセンスとは別に使った分のCopilot Creditsがかかります。

Work IQを使うために利用者側で設定は必要ですか?

Microsoft 365 Copilotのアドオンライセンスがあれば、利用者が特別な設定をしなくてもWork IQは回答に使われます。オンとオフの切り替えもできます。一方、開発者向けのWork IQ APIは、組織で1回、グローバル管理者がWork IQを有効にする作業と、使用量ベースの課金の設定が必要です。

Work IQはMicrosoft 365以外のデータも扱えますか?

扱えます。Microsoft Learnの概要では、Microsoft 365アプリの生産性データに加え、Dynamics 365やPower Platformの業務データも含まれると説明されています。どのデータが対象になるかは組織の契約と接続の状況で変わるため、社内の管理者に確認するのが確実です。

Work IQを使うとエージェントが勝手にメールを送ることはありますか?

Copilot StudioのエージェントでWork IQを使う場合、管理者がMicrosoft 365 管理センターで書き込み操作をオンにしない限り、読み取り専用で動きます。メール送信のような操作は、管理者の許可があって初めて可能になります。なお、この機能はプレビューで、本番の業務用途には向かないとされています。

まとめ:Work IQはCopilotが社内の文脈で答える土台

Work IQの要点として有料版の裏側で動くこと・権限の範囲で読むこと・APIは別課金であることをまとめた図

Work IQは、Copilotとエージェントが社内のデータと働き方を理解するための土台です。有料のMicrosoft 365 Copilotの回答や、Copilot Coworkの作業の裏側で動く仕組みと押さえておけば、資料で名前を見かけても迷いません。

次に確かめることは、立場によって次の順番です。

  1. 自分のライセンスがPremiumかどうかを確かめる
  2. 無料版の人は、有料版で答えがどう変わるかを比べる
  3. 管理者は、社内の共有設定とAPIの課金を見直す

Copilot全体の中での位置づけや、有料版の費用は次の記事で確認できます。

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この記事を書いた人

生成AIテックを運営する編集部です。SEOを専門とするデジタルマーケティングの実務家が、生成AIツールを仕事で毎日使う立場から記事を制作しています。記事はAIと人のハイブリッドで制作し、公開前に人の目で事実確認と編集を行っています。

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