会議、インタビュー、セミナーなど、日々の業務や学習の中で音声情報を扱う機会が増えています。
そうした場面で、録音した音声を効率的に文字起こしし、さらにその内容を要約してくれるAIツールは、非常に心強い存在です。
今回は、特に注目を集めているAI搭載の情報記録・活用ツールの中から、専用AIボイスレコーダー「PLAUD NOTE」と、ソフトウェアベースの「Notta」をピックアップ。
それぞれの特徴や機能を詳しく比較し、どのような方にどちらのツールがおすすめかを分かりやすく解説します。
- AI文字起こしツールPLAUD NOTEとNottaの基本機能
- PLAUD NOTEとNottaの料金プランやセキュリティ等の違い
- 自身の利用目的に合ったツールの選び方
- PLAUD NOTEとNottaそれぞれのおすすめユーザー像
PLAUD NOTEとNottaの概要
まずは、それぞれのツールがどのようなものなのか、基本的な特徴を見ていきましょう。
PLAUD NOTEとは?
PLAUD NOTEは、専用のAIボイスレコーダー(ハードウェア)とAIクラウドサービスが組み合わさった、録音・文字起こし・要約ソリューションです。
このツールの際立った特徴は、クレジットカードほどの薄型軽量な専用デバイスを用いることで、質の高い録音を手軽に実現できる点にあります。
録音した音声データは、AIによって文字起こしされ、さらに要約まで作成する機能を備えています。物理的なデバイスならではの携帯性や録音品質にこだわりを持つ方にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。
Nottaとは?
一方、Nottaは、PCやスマートフォン、タブレットなど、私たちが普段使っているさまざまなデバイス上で動作するソフトウェアベースのAI文字起こし・議事録サービスとなります。
専用のハードウェアを別途用意する必要はなく、アプリケーションをインストールするか、Webブラウザからアクセスするだけで、AIによる文字起こし、リアルタイムでの文字起こし、そして議事録作成といった機能を簡単に利用することが可能です。
既存のデバイスをそのまま活用し、柔軟な使い方を望む方に適しているサービスと言えます。
PLAUD NOTEとNottaを徹底比較
ここからは、PLAUD NOTEとNottaの機能や料金などを、より具体的に比較していきます。
まずは、主な違いを一覧表で確認しましょう。
項目 | PLAUD NOTE | Notta |
---|---|---|
基本コンセプト | 専用AIボイスレコーダーとクラウドAIの統合ソリューション | ソフトウェアベースのAI文字起こし・議事録サービス |
主な録音方法 | 専用ハードウェアによる録音 | PC・スマホのマイク、ファイルアップロード、Web会議連携 |
対応デバイス | 専用ハードウェア、連携用スマホアプリ、Web版アプリ | PC (Web)、スマートフォンアプリ (iOS, Android)、タブレット |
リアルタイム文字起こし | 主に録音後の処理(アプリで表示の可能性あり) | 対応 |
AI文字起こしエンジン | Whisper (OpenAI), Microsoft Azure | 独自AI |
AI要約エンジン | GPT (GPT-4o), Claude AI | 独自AI |
文字起こし対応言語数 | 112言語 | 58言語 |
AI要約機能 | AI自動要約、多様なテンプレート、マインドマップ | AI自動要約 |
翻訳機能 | 文字起こし・要約は112言語対応だが、独立した翻訳機能の明記は少ない | 58言語対応 |
通話録音 | 対応(スマホ連携、骨伝導センサー利用の可能性) | アプリ単体での明確な機能は情報限定的(PC経由のオンライン通話は画面収録等で対応可能か) |
画面収録 | 非対応 | 対応(PC版) |
外部ファイルインポート | 対応(オーディオインポート機能) | 対応 |
主なエクスポート形式 | WAV, PDF, DOCX, JPEGなど | TXT, DOCX, SRT, PDFなど |
Web版アプリ | あり | あり |
モバイルアプリ | あり(iOS, Android) | あり(iOS, Android) |
オフライン利用 | 録音はオフライン可、AI処理はオンライン必須 | 一部機能(録音など)はオフライン可、AI処理はオンライン必須 |
独自ハードウェア | あり | なし |
初期費用 | デバイス購入費:27,500円~ | なし(フリープランから開始可能) |
無料プラン | あり(スタータープラン:デバイス購入に付帯、毎月300分の文字起こし・AI要約が永年無料) | あり(毎月120分の文字起こし、AI要約10回/月など) |
主な有料プラン(月額目安) | プロプラン(実質月額1,400円 ※年額16,800円) | プレミアムプラン(月額1,185円 ※年払い時)<br>ビジネスプラン(月額2,508円/アカウント ※年払い時) |
セキュリティ認証等 | SOC2やHIPAAへの準拠、ISO27001の取得を「進めている」段階 | ISO 27001認証取得、SOC 2 Type1およびType2保証報告書受領、HIPAA、GDPR、個人情報保護法(APPI)、CCPA準拠 |
続いて、主要ポイントを比較していきます。
基本コンセプトと録音方法
PLAUD NOTEは、専用のAIボイスレコーダーを用いて高音質な録音を行い、録音データをクラウドAIで処理する方式を採用しています。
物理的なデバイスが存在するため、録音の開始・停止操作が容易であり、スマートフォンと連携させることで通話録音も行えます。
一方、Nottaの場合、PCやスマートフォンのマイクを使用するか、あるいは既存の音声ファイルをアップロードすることで文字起こしを実行します。
さらに、ZoomやMicrosoft TeamsといったWeb会議ツールと連携し、オンライン会議の音声をリアルタイムで文字起こしする機能も有しています。
文字起こし精度と対応言語
PLAUD NOTEでは、OpenAI社のWhisperモデルやMicrosoft Azureのアルゴリズムが活用され、日本語を含む112か国語に対応可能です。
ユーザーレビューに目を向けると、文字起こし精度は録音環境や選択するAIエンジン(例えばGPT-4o)によって評価に違いが見られる傾向がうかがえます。
静かな環境で高性能なAIエンジンを利用した際には高い精度を期待できるものの、騒がしい場所や複数人が同時に話す状況では精度が低下する可能性も指摘されることがあります。
Nottaは、日本語、英語、中国語など58言語への対応がなされています。静かな環境で明瞭に話された音声に対しては、非常に高い精度を発揮すると評価されることが多いです。
しかしながら、こちらも騒音が多い環境や話者の声が重なってしまうと、精度が低下する傾向が見受けられます。専門用語や固有名詞の認識精度を高めるための「単語登録」機能も搭載しています。
いずれのサービスを利用するにしても、100%完璧な文字起こしが保証されるわけではありません。
このため、重要な内容に関しては、人の目による確認と修正作業が必要となる場面が多いと考えられます。
AI要約機能
PLAUD NOTEでは、GPT-4oやClaude AIなどの先進的なAIモデルが活用され、録音・文字起こしされた内容を自動で要約する仕組みです。
会議の決定事項、ToDoリスト、一般的な要約といった、多様な形式の要約テンプレートが準備されており、マインドマップ形式での出力にも対応しています。
とりわけ、GPT-4oを利用した場合の要約精度は、高く評価される傾向にあります。
Nottaにおいては、AIが自動で文字起こしデータから重要なポイントを抽出し、簡潔な要約を生成します。利用者からは、議事録作成にかかる手間が大幅に削減される点で好評を得ています。
PLAUD NOTEは、採用しているAIモデル名を具体的に提示することで、技術的な先進性を印象付けています。一方、Nottaも実用性の高い要約機能を提供していると言えるでしょう。
使いやすさ(UI/UX、操作性)
PLAUD NOTEの専用デバイスは、ワンタッチで録音を開始できるなど、シンプルな操作性が魅力と言えるでしょう。
ただし、文字起こしや要約結果の確認・編集作業はスマートフォンアプリまたはWeb版のアプリケーションで行うため、これらのアプリとの連携が前提となる点に留意が必要です。
一方、Nottaはソフトウェアベースのサービスであり、PCやスマートフォンのアプリ、またはWebブラウザで直感的に操作できると評価されることが多いです。
特別なハードウェアを必要としないため、アカウントを作成するだけですぐに利用を開始できる手軽さが備わっています。
携帯性と利用シーン
PLAUD NOTEは、クレジットカードほどのサイズで薄く軽量な設計のため、携帯性において非常に優れています。
スマートフォンの背面にマグネットで装着して目立たずに録音することが可能で、外出先でのインタビューや会議、あるいはふとしたアイデアを記録する用途に向いています。
通話録音機能も備わっている点が特徴と言えます。
Nottaの場合、スマートフォンアプリを利用すれば携帯しての使用もできますが、録音の品質は使用するスマートフォンのマイク性能に依存する点に注意が必要です。
PCでの利用やオンライン会議ツールとの連携に強みがあり、オフィスやリモートワーク環境における議事録作成、情報共有といった場面で活用しやすいでしょう。
料金プラン
PLAUD NOTEを利用するためには、まず専用AIボイスレコーダー(27,500円から)の購入が求められます。
このデバイスを購入すると「スタータープラン」が自動的に付帯し、毎月300分の文字起こしとAI要約機能(最新のGPT/Claude AIを利用)が永年無料で利用可能となります。
より多くの機能や長時間の利用を希望する場合には、有料の「プロプラン」(年額16,800円、月間1200分の文字起こし、ChatGPT-4oによるAI要約が無制限といった内容)が用意されています。
一方Nottaでは、初期費用は発生せず、「フリープラン」から気軽に利用を開始できます。このフリープランでは、月間120分の文字起こしや10回のAI要約といった機能が提供されます。
有料プランとしては、個人向けの「プレミアムプラン」(月額1,185円、年払いの場合。月間1800分の文字起こしなどが含まれます)や、チーム利用に適した「ビジネスプラン」(1アカウントあたり月額2,508円、年払いの場合。文字起こし時間が無制限などの特典があります)が設定されています。
加えて、学割や教職員向けの割引制度も準備されています。
利用頻度が比較的少ないライトユーザーの方で、デバイスへの初期投資を許容できるのであれば、PLAUD NOTEのスタータープランがお得になるケースが考えられます。
これに対して、初期費用を抑えたい方や、利用量が多い方にとっては、Nottaのプランが柔軟な対応を可能とするでしょう。
サポート体制
PLAUD NOTEでは、日本語によるメールサポートが提供されています。また、公式サイトにはFAQやマニュアル動画も準備されています。日本法人を設立しており、日本市場への取り組みを強化している点がうかがえます。
一方、Nottaは日本語のヘルプセンターが充実していることに加え、問い合わせフォームや製品内からのフィードバック機能も利用可能です。
法人向けには専門のサポートチームが設けられており、公式SNSでの情報発信も積極的に行われています。
両サービスともに日本語によるサポートを提供していますが、現時点においては、Nottaの方がサポート窓口の多様性という点でやや優位にあると言えるかもしれません。
セキュリティとプライバシー
PLAUD NOTEに関して、ユーザーデータはユーザー自身の管理下に置かれ、暗号化によって保護されると説明しています。クラウド基盤にはAWS(アマゾンウェブサービス)やGoogle Cloudが採用されています。
データがAIの学習に利用されることはないと明言しており、セキュリティ認証(SOC2、HIPAA、ISO27001など)の取得については、「進めている」段階であるとの情報です。
Nottaは、ISO 27001認証やSOC 2(Type1およびType2)保証報告書をすでに取得しています。
さらに、HIPAA、GDPR(EU一般データ保護規則)、日本の個人情報保護法(APPI)といった、多数の国内外データ保護規制に準拠していることを明確に示しています。
SSL暗号化、データのバックアップ、厳格なアクセス管理など、具体的なセキュリティ対策についても詳細な情報を開示している点が特徴です。
現時点を比較すると、取得済みのセキュリティ認証の種類や開示されている情報の具体性という面で、Nottaが一歩進んでいると評価できます。
これらの要素は、特に企業が利用を検討する上で重要な判断材料となるはずです。
PLAUD NOTEがおすすめな人
外出先での録音が多い方には、特に適しています。薄型軽量な専用デバイスは携帯性に優れており、どのような場面でも手軽に質の高い録音を開始することが可能です。
スマートフォンの通話録音を頻繁に行う方にも、おすすめできます。専用の通話録音機能が、このようなニーズに応えてくれるでしょう。
録音品質の高さとAIによる要約機能を重視する方にも、良い選択肢となります。デュアルマイクシステムがクリアな録音を実現し、GPT-4oといった最新AIによる高精度な要約を期待できるためです。
デバイスへの初期投資を許容でき、かつ毎月一定量のAI関連機能を無料で長期間にわたって利用したいと考える方にとって、スタータープランの永年無料枠は大きな魅力となるはずです。
できるだけ目立たずに録音を行いたい方にも、PLAUD NOTEは役立ちます。スマートフォンに装着してさりげなく録音できるため、相手に録音していることを意識させたくない場合に重宝するでしょう。
Nottaがおすすめな人
初期費用を抑えたい方には、Nottaが向いています。無料プランが用意されており、手軽に利用を開始できる点がメリットです。
主にPCやオンライン会議での利用を考えている方にも、適したサービスと言えるでしょう。Web会議ツールとの連携機能や、PCでの画面収録・文字起こし機能が充実しているため、作業効率の向上が期待できます。
リアルタイムでの文字起こし機能を重視する方にも、Nottaはおすすめです。会議中や講演の最中に、話の内容を即座にテキストで確認することが可能になります。
多機能性や他のツールとのスムーズな連携を求める方にとっても、魅力的な選択肢です。翻訳機能、カレンダー連携、Zapier連携など、豊富な機能群が業務の効率化をサポートしてくれることでしょう。
法人やチームでの利用を検討しており、特にセキュリティを重視する場合には、Nottaが有力な候補となります。多数の国際的なセキュリティ認証を取得していることに加え、法人向けの管理機能も十分に備わっています。
学生や教職員の方であれば、お得な学割制度を利用できる点も見逃せません。
PLAUD NOTEとNottaの比較まとめ
PLAUD NOTEとNottaは、どちらもAIを活用した優れた文字起こし・要約ツールと言えますが、アプローチと得意分野には違いが見られます。
PLAUD NOTEの主な強みとして、専用ハードウェアによる高品質かつ手軽な録音、優れた携帯性、通話録音機能、そして先進的なAIモデルを活用した要約機能が挙げられます。
特に、デバイスの購入によって毎月一定量のAI機能を永年無料で利用できる点は、大きな魅力だと言えるでしょう。
一方、Nottaの強みは、初期費用なしで始められる手軽さ、PCやスマートフォンなど多様なデバイスで利用できる柔軟性、リアルタイム文字起こし機能、豊富な連携オプション、そして国際的なセキュリティ認証に裏打ちされた信頼性にあると考えられます。
どちらのツールを選ぶべきかについては、皆様の利用シーンや重視するポイントによって判断が異なってきます。
手軽に質の高い録音を行いたい、あるいは通話録音も活用したい個人ユーザーの方には、PLAUD NOTEが適しています。
初期費用を抑えたい方、オンライン会議での利用が中心となる方、または多機能性やセキュリティを重視するユーザーの方(個人・法人を問わず)には、Nottaが適していると言えるでしょう。
AI文字起こしツールの進化は目覚ましく、これからも精度向上や新しい機能の追加が期待されるところです。
今回の比較情報が、皆様にとって最適なツール選びの一助となれば幸いに存じます。まずは無料プランや無料利用枠などを活用して、実際の使い勝手を試してみることをお勧めいたします。