【2025年10月】AI関連最新ニュース|国産LLM本格始動とAI実用性の臨界点突破

【2025年10月】AI関連最新ニュース|国産LLM本格始動とAI実用性の臨界点突破

2025年10月は、9月の「国産エコシステム構築」の動きをさらに加速させ、AIが「デモ」や「実験」の段階を終えて「日常業務の必須インフラ」へと本格的に移行し始めた月でした。

国内では、NTTが「tsuzumi 2」の提供を、ソフトバンクが「Sarashina」を発表。9月のPFN・さくら・NICT連合に続き、日本の2大通信キャリアが具体的な国産LLMを相次いで投入し、企業が「データ主権」と「コスト」を両立してAIを選ぶ時代が現実のものとなりました。

一方、グローバルでは、私たちが日常的に使うAIが飛躍的な進化を遂げています。Googleの「NotebookLM」が100万トークン(膨大な資料)の処理に対応し、Microsoftの「Copilot」が自然言語でのアプリ開発を可能にするなど、AIは単なる「アシスタント」から、「業務プロセスそのものを構築するパートナー」へと役割を変えつつあります。

国内の社会実装と、グローバルの超実用化。AIがビジネスと日常に急速に浸透する最前線を、今月の主要ニュースで解説します。

目次

2025年10月の主要AIニュース

それでは、2025年10月に起こった主要なAI関連ニュースを時系列でご紹介します。

1:【開発者向け】OpenAI、動画生成「Sora 2」APIなどを提供開始(10月6日)

OpenAIがAPIのアップデートを発表し、待望の動画生成AI「Sora 2」や、次世代モデル「GPT-5 Pro」などが開発者向けに提供開始されたと報じられました。今後、ChatGPTや各種アプリへの動画生成機能の組み込みが進むと予想されます。

出典:note (npaka)「OpenAI API のアップデート – 2025年10月6日」

2:【新モデル】Anthropic、高速・低コストな新モデル「Claude Haiku 4.5」リリース(10月15日)

Anthropicが、Claudeファミリーの最新モデルとして、小型・高速・低コスト版の「Claude Haiku 4.5」をリリースしました。旧世代の高性能モデルに匹敵する性能を持ちながら、最上位モデルより4〜5倍高速かつ低コストで動作し、リアルタイム性が求められる領域での活用が期待されます。

出典:Anthropic News「Introducing Claude Haiku 4.5」

3:【国産LLM】NTT、高性能・低コストな「tsuzumi 2」を提供開始(10月21日)

NTTが、国産LLM「tsuzumi」のアップグレード版である「tsuzumi 2」の提供を開始。1GPUで動作可能な軽量・低コスト性を維持しつつ、日本語性能で世界トップクラスを実現したと発表。セキュリティを重視する国内企業や公共機関での活用が期待されます。

出典:ケータイ Watch (Impress)「NTTが大規模言語モデル「tsuzumi 2」を提供開始 世界トップクラスの日本語性能を実現」

4:【倫理・規制】AI専門家ら2万人超、「超知能」AI開発の禁止を要求(10月22日)

ジェフリー・ヒントン氏ら著名な専門家を含む2万2千人以上が、人類の知能を超える「超知能」AIについて、安全性が確立されるまで開発を禁止するよう求める書簡に署名。技術の急速な進化に対し、人間の制御が及ばなくなるリスクへの警鐘が再び鳴らされました。

出典:東洋経済オンライン「「超知能AIの開発を停止するべき」、スティーブ・バノン氏ら米右派を含む著名人が声明 、AI研究の第一人者であるジェフリー・ヒントン氏も署名」

5:【安全性】ChatGPT、精神的苦痛の兆候に対する応答を大幅改善(10月27日)

OpenAIが、ユーザーの精神的な苦痛の兆候をChatGPTが認識した際の応答を改善したと発表。170人以上の専門家と協力し、モデルが不適切な応答をせず、必要に応じて専門的な支援へ誘導する能力を強化。AIの安全利用に向けたアップデートです。

出典:OpenAI Blog「Strengthening ChatGPT’s responses in sensitive conversations」

6:【ビジネス実装】Copilot、自然言語でアプリや自動化ワークフローを構築可能に(10月28日)

Microsoftが、Microsoft 365 Copilot向けに「App Builder」と「Workflows」機能を追加(Frontierプログラム顧客向け)。ユーザーが自然言語で指示するだけで、Copilotがアプリや自動化フローを構築するもので、AIが「開発者」の役割を担い始めています。

出典:Microsoft 365 Blog「Microsoft 365 Copilot now enables you to build apps and workflows」

7:【サービス強化】Google「NotebookLM」が大幅強化、100万トークン対応(10月29日)

Googleのリサーチ・ライティング支援ツール「NotebookLM」が大幅アップデート。最新のGeminiモデルを搭載し、コンテキストウィンドウが全プランで100万トークンに拡大されました。膨大な資料を一度に読み込ませた上での対話や要約が可能になります。

出典:窓の杜「ノートブックAI「NotebookLM」の記憶力が6倍以上に強化、頭脳の「Gemini」も最新に」

8:【国産LLM】ソフトバンク、日本語特化LLM「Sarashina」を発表(10月29日)

ソフトバンクが、子会社のSB Intuitionsが開発した日本語特化の生成AI「Sarashina(更科)」を発表。NTT西日本とも連携し、「国内完結型」のソリューション提供を目指すとしており、通信キャリアによる国産AI開発が加速しています。

出典:ソフトバンク株式会社 プレスリリース「通信業界向け生成AI基盤モデル「Large Telecom Model」が国産AIモデルに発展、社内利用を開始」

9:【ビジネス実装】PwC Japan、AIエージェント開発組織「AI Factory」発足(10月30日)

PwC Japanグループが、AIエージェントの開発に特化した組織「AI Factory」を10月1日に発足させていたことを発表。業務プロセス自体を自律的に実行する「AIエージェント」の導入・活用支援が本格化しています。

出典:PwC Japanグループ プレスルーム「PwC Japan、AIエージェントのラピッドプロトタイピングを専業で担う開発組織「AI Factory」を発足」

10:【グローバル】テック大手各社、AIインフラへ巨額の追加投資(10月下旬)

Google(Alphabet)、Meta、Microsoftが、AI開発のためのインフラ投資を大幅に拡大していることが決算発表などで判明。Metaは2025年の設備投資額を約700億ドル超に引き上げるなど、次世代AI開発競争が計算資源をめぐる「インフラ戦争」の様相を呈しています。

出典:ITmedia NEWS「Meta、AIへの投資発表で株価急落 Microsoftも下落」

11:【ビジネス実装】日産自動車、生成AI車載エージェント「AutoDJ」発表(10月下旬)

日産自動車が、生成AIを活用した車載エージェントシステム「AutoDJ」を発表。音声対話による目的地案内や観光提案が可能で、モビリティ分野での顧客体験(UX)向上に向けたAI活用が本格化しています。

出典:MarkLines「日産、生成AIを活用した車載エージェントシステム「AutoDJ」を発表」

まとめ:2025年10月のAIニュース

2025年10月は、「国産AIの本格始動」と「AI実用性の臨界点突破」という、2つの巨大な潮流が明確になった月でした。

NTT「tsuzumi 2」とソフトバンク「Sarashina」の登場は、日本企業にとって「どのAIを使うか」という選択肢が現実的に生まれたことを意味します。データ主権や日本語性能、コスト効率といったシビアなビジネス要件に応える国産モデルの登場は、AIの社会実装を確実に次のフェーズへと進めるものです。

同時に、Googleの「100万トークン対応」やMicrosoftの「自然言語でのアプリ開発」は、AIの活用レベルが根本的に変わったことを示しています。もはやAIは「文章を要約する」ツールではなく、「膨大な資料群をすべて理解した上で、業務フローまで自動で構築する」エージェントになりつつあります。

一方で、テック大手による巨額のインフラ投資競争や、「超知能」開発の停止を求める専門家の声は、この急速な進化がもたらす光と影を浮き彫りにしています。AIの圧倒的なパワーをいかに安全に、そして社会全体で制御・活用していくか。技術の進化と社会的な合意形成のバランスが、これまで以上に問われる局面に入ったと言えるでしょう。

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